お散歩
銀さんは帰ってくるなりソファーにどっかりふんぞり返って沈みこんだ。
天井に向けて深いため息をついた。 またパチンコで負けたのかなと思ったけど、違うみたいだ。
「聞けよ、オマエラ!ヅラの奴、ペットなんて飼い始めちゃったんだぞ、それも巨大なペンギン型の天人!」
「ペンギン…ですか?」
「そうなんだよ、新ハ!『可愛いだろう?』なんて言っちゃってさ、ほんとばっかじゃね?!」
「はぁ。桂さんがペットねぇ」
「朝から嫌な奴と会っちまったよ、くそぉ」
銀時は舌打ちをした。今日は糖分がとれない日なので余計イラついている。
「要はあれね、銀ちゃんは妬いてるアルね」
「ええええ!何ソレ!なんでそーなんの、」

銀時は後ずさる。神楽はちっさくてもやっぱ女なので、妙なとこでカンが鋭い。
『新八、あれで銀ちゃんは隠してるつもりアルか?嘘が下手アルね』
『本人は隠してるつもりらしいけどね。バレバレだよね』
二人はこっそり耳打ちする。
「はいそこ!何してんの!!」
「いえっ、別に何も!」

「そーか、それでな、さっきの続きだけどよ、あいつ河原まで散歩にいくらしいぜ、 けっこう遠いのにご苦労なこった」
神楽ちゃんがため息をついた。
「そういえば、今日はアネゴの買い物に付き合って冷凍食品のセールに行かなきゃ行けないアル」
「あ、そうそう!姉上の好きなハーゲンダッシュが2割引なんですよぉ。僕も手伝いに行かなきゃ!」
「だから今日の夕方の定春の散歩は銀ちゃん一人で行くアルよ」
「マジでか」
銀さん、嬉しそうだ。扱いやすい人だ。
「しょ、しょうがねーなーもー!俺様が行ってやるよ。そのかわり明日はちゃんと行くんだぞ、いーな」
「「はーい」」
素直じゃないね。

銀さんはいそいそと出掛ける仕度を始める。

「銀ちゃん、まだ夕方じゃないアル」
「いいんだよ、今日はスペシャルコースで少し遠出すんの!」
「…行ってらっしゃいアル」
「行ってらっしゃい、銀さん」

「おう。」

足取りが軽い。銀さんが向かう先はやっぱり河原だ。
「普通に会いに行けばいいのに面倒くさい奴ネ」
「本当にね」




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